住宅ローン控除がある場合、iDeCoに加入してメリットはあるの?
こんにちは!
早いもので今年も残り1か月半となりました。今なお感染拡大が続き終わりの見えないコロナ禍ではありますが、新しい生活様式を前向きにとらえ、多忙な年末を無事に過ごしていただければと思います。
さて、今月は『住宅ローン控除がある場合、iDeCoに加入してメリットはあるの?』と題して、老後の資産形成手段の一つであるiDeCoは運用益の非課税が魅力の一つではありますが、積立を続けている期間の所得控除も大きな魅力と言えるでしょう。
しかし、住宅ローン控除を利用中の方の場合、納める税金が少額あるいはゼロになっている方もいらっしゃるかと思います。そこで、「住宅ローン控除使っているし、iDeCoはやらなくてもいいかな…」と考えている方もいらっしゃることでしょう。果たしてその考えは本当に合っているのか?
これからiDeCoを始めようとしている方も、住宅ローンを組もうと思っている方も是非本ブログで基本的な知識を覚えていただければ幸いです。
控除の種類が違います
iDeCoの掛け金控除、そして住宅ローン控除のいずれも「何だか税金が安くなりそうな雰囲気」を感じていただいていると思いますが、その仕組みは異なります。
iDeCoは所得控除。住宅ローン控除は税額控除という違いなのですが、詳しく見て行きましょう。
下の図をご覧ください。
皆さんが毎年納税している所得税の計算過程を図にしたものです。総収入から経費を差し引いたものが所得となり、そこからさらに「所得控除」を差し引いた金額が税金を計算する元になる「課税所得」というものになります。
iDeCoの掛け金は全額所得控除となりますので、「税金を計算する元になる数字から差し引かれる」ものです。節税であることに間違いは無いですが、決して税金そのものから差し引かれるわけではありません。
一方住宅ローン控除は税金そのものから差し引かれる税額控除となります。住宅ローン控除は居住開始した時期等により違いも発生しますが、仮に平成26年1月1日から令和2年12月31日までに一般の住宅(特定住宅で無い)を消費税込みで購入した場合、年末残高の1%を最大10年間受けられる制度ですので、仮に年末のローン残高が2,000万円であれば、20万円の税額控除が受けられることになります。
上記20万円は所得税から控除されますが、一般的な収入の会社員で所得税を20万円以上納税するケースは少ないでしょう。所得税から控除しきれなかった分は住民税から136,000円を限度に控除されます。すると、人により違いはありますが住宅ローンを組んでいる一般的な収入の方であれば、控除適用期間の納税額は所得税・住民税を合わせてもゼロもしくは少額になることが多いです。
そのため、「iDeCoに興味はあるけど住宅ローン控除あるから今からやらなくてもいいか…」という冒頭お話したことを思う方も多くいらっしゃると思いますが、その考えは半分正解で、半分間違いです。
どういったことか詳しく見て行きましょう。
控除の順番
先ほど解説した「所得控除」と「税額控除」ですが、上図の通り、所得から所得控除を差し引き、課税所得を算出します。その後、課税所得に税率を掛け算して算出税額が出された後に税額控除があり納税額が決定しますが、控除の順番は所得控除が最初で税額控除はその後です。
そのため、iDeCo以外に生命保険料控除や地震保険料控除、医療費控除などの所得控除がある場合、税金を計算することになる元となる金額が少なくなるわけですから、当然税金も少なくなります。
先に述べたように、すでにiDeCoの所得控除を利用せずとも住宅ローン控除によって、納税額がゼロもしくは少額となっている場合、「iDeCoの所得控除を生かせる」とは言えません。
以上のような控除の特徴を踏まえてメリット・デメリットをまとめて行きます。
iDeCoの所得控除がデメリットとなる人
・納税額の少ない方
・住宅ローン残高が多く、控除の大きい方
いずれの場合も住宅ローン控除で納税額がゼロもしくは少額となる場合、iDeCoの所得控除を使うことで、「所得税・住民税の節税」というメリットは得られません。
iDeCoの所得控除がメリットとなる方
・納税額の多い方
・住宅ローン控除で所得税がゼロとなっても、住民税の控除上限に該当する方
ローン残高が多い方でも所得税だけで控除しきれなかった場合、住民税からも136,000円を限度に控除されますので、一概にローン残高が多いからといってメリットが無いとは言い切れません。
iDeCoはそもそも何のため?
今回はiDeCoの所得控除というメリットに焦点を当て、メリ・デメについて解説してまいりましたが、そもそもiDeCoの目的とは「老後資金を有利に貯める」という点にあります。「住宅ローン控除と被るからしばらくいいか…」と思うことは間違いではありませんが、老後の資産形成という点から考えるとその考えは間違っています。
なぜ間違っているかというと、「時間を味方につける」という点を利用できていないためです。当ブログでも資産形成の手法として「長期」「分散」「積立」を推奨しておりますが、この中の「長期」に該当する部分が、住宅ローン控除が終わるまで無駄になってしまうためです。
確かに「所得控除」という点でデメリットとなってしまう方は存在します。しかし、iDeCoに限らず資産形成は1年でも1ヶ月でも早めに始めたほうが「積立額」の負担は少なくて済みますし、時間を味方にすることで市場の価格変動による影響を少なくすることにもつながります。しかも、今回取り上げたiDeCoは運用益が非課税です。
ただし、人によっては先に解説したようにiDeCoを必ずしも今すぐ始めることをおススメできない方もいらっしゃいます。「所得控除」「非課税」という魅力的な言葉の並ぶ商品ではありますが、ご自身の収入や組んでいるあるいは組もうとしている住宅ローンによっては、別の方法で資産形成をスタートした方が良い場合もございますので、「自分の場合はどうなのだろう?」と思った方は私までご相談頂ければと思います。
ライフスタイルや資産形成に関する考え、リスク許容度などからあなたに合った方法をご提案いたします。希望される場合はオンラインでのご相談も受け付けておりますのでお気軽にご連絡ください。「難しそう」と思うことは案外専門家に相談すると簡単に解決したりするものです。一緒にベストな方法を探していきましょう。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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