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GPIFとはどんなことをしているのか?

こんにちは!

SPOONの中込です。

 

まだ5月だというのに真夏日になってしまいました。体が暑さになれていない時期ですから、水分補給をしっかりして、体調を崩さないようにしたいものです。

 

さて今日のブログはGPIFについて簡単に解説していきたいと思います。四半期ごとに運用の成果が報道され、マイナスを出してしまうと批判の対象になってしまうGPIFですが、一体この組織はどんなもので、我々の生活とどのように結びついているのか?どのような運用を行っているのか?ご存じない方は特に覚えておいて損はない内容ですので、どうぞ最後までお読みください。

GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、英語での正式名は

Government(政府) Pension(年金) Investment(投資) Fund(基金)

となり、GPIFはそれぞれの頭文字を取った略称です。上記からもわかるように我々が毎月払っている年金保険料を運用してくれている組織ということになります。

 

国の公的年金は世代間扶養の仕組みを取っているため、現在働いている私たちの保険料は、現在年金をもらっている方々に充てられ、私たちが年金をもらう頃には、私たちの下の世代の保険料が充てられる仕組みとなっています。加入している方もいらっしゃると思いますが、生命保険会社の個人年金のように自分で積み立てた保険料総額を自分で受け取る仕組みとは異なります。

しかし、皆さんもご存じのように現代は少子高齢化社会です。このままだと年金を受け取る人は毎年増えていきますが、保険料をねん出してくれる若い世代は減っていきます。そうなると、若い世代一人当たりの年金保険料は今以上に増えてしまい、負担が重くなってしまいます。

そこで、皆さんが支払っている保険料の中から今の年金支払いに充てられなかった部分を年金積立金として積み立て、その積立金を債券や株式の購入に充て運用し、お金を増やすことによって将来の若い世代の負担を減らそうとしているのです。

そのため、運用成績が短期的にマイナスになったりすると報道で叩かれてしまうというわけです。

 

では、GPIFの運用は批判されるくらいマイナスなのでしょうか?

2018年12月末現在で150兆円というとてつもない金額を運用していますが、2001年から2018年12月末までで56.7兆円資産を増やし、年率に直すと2.73%となります。

「お金が増えているのになぜ批判されることがあるのか?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。

報道等で批判されるのは、あくまで短期的な数字に対してであり、直近だと2018年第3四半期(10月~12月)では14兆8000億円のマイナスです。

「国民の大切な年金を14兆円も失うとはどういうことだ!」と言われれば、うなずいてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、GPIFの運用は1年でお金を増やそうという短期的な運用ではなく、長期的な運用です。そもそも運用している元金が150兆円もあるわけですから、たった1%動くだけでも1.5兆円のお金が動くことになります。

ちなみに私も将来のために長期投資を行っていますが、この記事を作成している2019年5月27日月曜日と前取引日である2019年5月24日金曜日の資産状況を比較すると、金曜日に比べて今日の終値で総資産の1.12%がマイナスになっています。

GPIFのポートフォリオと私のポートフォリオを比較した場合、私の場合外国株式が中心ですので、変動の激しさはGPIFに比べて高くなる傾向はありますが、1日で1%くらいの変動はよくあることです。ただし、私の資産の1%とGPIFの資産の1%では先にも述べたように金額の桁が違いすぎるので、マイナスとなった場合体感的に莫大な金額を損したような気になってしまい、結果叩かれるというわけです。マイナスになってしまうことを避けることはできませんので、どのくらいの期間で何%資産に影響があったのかを見ることが大切です。

 

先ほどポートフォリオという言葉が出てきましたが、投資初心者の方に用語解説をすると投資をしている人や団体が保有している金融商品の組み合わせのことを言います。

参考までに私のポートフォリオは下の通りです。

外国株式50% 外国債券30% 国内株式10% 国内債券10%

以上のような比率です。外国株式をさらに分解していくと、北米や先進国に分かれていきますが、ここでは便宜上、外国株式として纏めて記載しています。

 

そして気になるGPIFのポートフォリオは下のグラフの通りです。(2018年12月末のデータです)

出典:GPIFホームページhttps://www.gpif.go.jp/operation/the-latest-results.htmlより抜粋

国内債券35% 国内株式25% 外国債券17.41% 外国株式24.29%

私のポートフォリオと比べると株式の割合が少なくなります。以前のブログで債券について解説した回でも書きましたが、一般的に株式に比べ債券は変動幅が小さいです。皆さんから預かっている大事なお金を運用するわけですから、私のように変動の大きいポートフォリオを組むわけにはいきません。

しかし、GPIFも以前は国内債券の比率が60%だった時代もありました。2014年10月より上記のようなポートフォリオとなりましたので、昔と比べると多少のリスクを取ってでも積極的な運用をしていくようになったというわけです。

 

ここで勘のいい方は気づかれたかと思いますが、GPIFと同じポートフォリオを組めばおのずと資産は増えていくのではないか…?

 

ある意味正解ですが、ある意味間違いです。

GPIFは運用の終わりを設定していません。当然ですが、日本という国が続く限り年金制度の破たんの無いよう運用し続けるためです。一応、100年先を見越して現在のポートフォリオは組まれているのですが、残念ながら我々はこれから100年生きる可能性はかなり低いといえるでしょう。

もちろん、上記ポートフォリオはその道のプロが考え、シミュレーションを繰り返した結果できたポートフォリオですので、信頼性は非常に高いです。

しかし、我々に残された時間はGPIFと比べ短く、また運用できる金額も比べ物にならないほど少額です。同じようなポートフォリオにすることを否定はしませんが、ご自身のリスク許容度と金融商品の正しい理解を持って10年単位での運用をしていかれることをお勧めいたします。

 

いかがだったでしょうか?

ニュース等でよく聞くGPIFは我々の老後になくてはならない存在です。彼らの運用如何によって私たちの年金にも影響がありますが、同時に自助努力も大切だと考えます。

いわゆる私的年金というものですが、無理をしない範囲ではじめ、実際に自分たちがどのような目的でお金を積み立てていくのかを明確にし、ゴールへ向かって歩いて行っていただければと思います。GPIFでも株式比率を増やす時代です。間違っても『銀行預金に毎月1万円ずつ貯める』ような積み立てを始めてはいけません。先にも書きましたが、自身のリスク許容度とよく相談し、運用を始めていただければ幸いです。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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*本記事は投資・運用初心者の方へ向けて書いています。各種金融商品を購入される際は、目論見書や重要事項説明書をよくお読みいただき、ご理解したうえで始めてください。また、弊社では個別銘柄の推奨はしておりません。