BLOG ブログ

認知症とお金

こんにちは!
SPOONの中込です。

台風15号の被害にあわれた方お見舞い申し上げます。ご自宅に強風による被害が発生した場合には、火災保険の支払い対象となる可能性がございますので、保険会社までお問い合わせください。

さて、今日のブログは『認知症とお金』と題して、社会問題となっている認知症についてFPの視点から取り上げていきたいと思います。介護離職などが叫ばれていますが、家族に認知症患者を抱えると生活はどのように変化していくのでしょうか?また、事前に備えるためにはどのようにすればよいのでしょうか? 老いはだれしも避けては通れない道ですので、どうぞ最後までご覧ください。

「親が認知症になったら施設に入れればいい」と簡単に考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、現実はそう甘くありません。もちろん、ご自身に潤沢な資産があり、なおかつ入居予定の親も施設への入居に理解のある場合であれば、簡単に施設に入れることは可能です。しかし、大多数の方が上記の様な状況でないからこそ社会問題となってしまうのです。

症状の進み方や、症状の出方によって認知症も様々ですが、ごく初期の認知症はなってしまった本人も「なんか、物忘れが増えたな…」程度にしか思わず、深刻なこととして受け止めていません。そのため、周りの家族も「忘れっぽくなったね~」と呑気にしていられます。
症状が進んでくると同じことを一日に何度も繰り返し話す。今まで毎日通っていた道がたまに分からなくなる。怒りっぽくなる。などの症状が人によっては出てきます。
ここまで来ると本人は自分に異変が起きていることすら曖昧になり、家族や他人からボケていると言われると腹を立てます。当然家族は異変に気付きますので、地元の認知症外来へ連れていき、診察の結果『認知症』であることが診断されます。

脳以外の体の各器官に異常が無ければ外見上普通のお年寄りと変わりませんし、食事も自分で食べ、トイレやお風呂も自分で出来ます。ただし、症状は次第に進行していきますのでこれもいつまで自分で出来るかわかりません。このあたりで自治体の要介護認定を受けることになります。初期の認知症で、手足の動きに制限が無ければ大体「要介護1もしくは2」と認定されます。
要介護認定という言葉は家族にとても重く感じられ「とうとう自分の親は介護が必要になったのだ…」としみじみ感じることになり、施設への入所も視野に入れた介護に切り替わっていくのですが、問題になるのはお金のことです。

「特別養護老人ホーム(特養)が安いからそこに入れればいいでしょ?」という方もいるかと思いますが、特養は要介護3以上が入居対象です。そのため、要介護2で施設入居を考えた場合、有料老人ホームもしくはサービス付き高齢者向け住宅のどちらかになります。

有料老人ホームの全国平均月額費用は22.3万円
サービス付き高齢者向け住宅の全国平均月額費用は16.1万円
(LIFULL介護調べ)

この金額を見てどう思うかは人それぞれですが、親の年金だけに頼るのは厳しいものがあるのではないでしょうか?さらに、有料老人ホームの場合入居時費用も平均で550万円ほどかかりますので、ある程度の貯蓄が無いと厳しい現実が待ち構えています。
月額費用ということは要介護者が生きている限り毎月22.3万円かかり続けるわけです。親の年金にプラスして現役世代がいくら支出するかは、年金収入額に比例することになりますので、聞きづらいかもしれませんが、介護に不安のある方は一度親の年金額を聞いておくとよいでしょう。

「そんなに高い費用は出せないから可能な限り家で介護する」同居世帯の方はこのように思う方も多いと思います。家で認知症の介護をする場合、介護者への精神的負担は仕事の比ではありません。また、家を頻繁に開けることも出来なくなりますので、仕事にも大きな影響があります。
そこでデイサービスやショートステイの活用となるわけですが、これにもお金はかかります。先に挙げた要介護2の場合在宅サービスの利用限度額は一月当たり196,160円(自治体により異なる場合があります)までとなっており、要介護者の所得にもよりますが1割負担だった場合19,616円が自己負担分となります。介護保険では食事代や日用生活品は対象になりませんので、これらは全額自己負担となります。

いかがだったでしょうか?
世界一認知症患者の多い国が私たちの日本なのですが、意外とそこに係るお金についての知識は世間に広まっていないのではないかと思います。介護が必要=施設に入居という考え方はある意味正解ですが、入居する側の気持ちを考えると複雑なものもあります。

田舎に暮らす親が要介護になったらどうするか?
この問題をきれいに解決する方法ははっきり言ってありません。お金さえこちらから出せばいいかというとそういう問題でもなく、気持ちの問題も多分にあるのが現状です。
では、将来自分に介護が必要になったら?を考える方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。老後2000万円問題はあくまで生活費だけの話です。介護や認知症に備えるためには単純な貯蓄だけでなく、保険も含めた複合的な備えが必要になる時代が来たと言えるでしょう。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

SPOONに相談する!