BLOG ブログ

介護保険と世帯分離

こんにちは!

ファイナンシャルプランナーの中込です。

世間ではGotoトラベルも本格的にスタートし、秋の行楽シーズンとなりました。暑さも一段落し、行楽を楽しむには絶好の季節となりましたが、新しい旅の様式を守って安全にお楽しみください。

さて、今月は『介護保険と世帯分離』と題して、親世帯と同居している子世帯が世帯分離を行うことにより、親世帯の介護保険自己負担額に影響が出るという内容を解説していきたいと思います。

ご存知のように我が国は超高齢化社会が進行していますが、それと比例して親の介護問題、とりわけ金銭的な部分は子世代の重荷となってしまうこともあるでしょう。

もちろん、金銭的な問題と同じように、時間と精神的にも多くの問題は発生してしまいますが、やはり先立つものはお金になってしまうのが現実です。コロナの影響で子世代も所得が下がってしまう可能性もある現代で、親世帯の介護費用まで賄っていくことはなかなか難しいと言えるでしょう。

親世帯と同居されている方は今回解説する仕組みをよく理解していただき、必要以上のお金をかけることなく賢く介護サービスを利用していただければと思います。

介護保険の仕組み

介護保険は皆さんが病院へ行く時に持っていく「保険証」の健康保険と同じく、加入が義務付けられた社会保険です。ただし、加入は40歳からになりますので若い世代の方はいまいちピンと来ないかもしれませんね。

40歳から加入することになる介護保険ですが、64歳までは加入している健康保険と一緒に保険料が徴収されます。例えば会社員の方であれば協会けんぽ、自営業の方であれば国保といった形です。その後65歳になると原則として年金から徴収されるようになります。気になる保険料の金額は加入している健康保険組合や自治体によって異なりますので、詳しくお知りになりたい場合は加入している保険組合・自治体のHPをご覧ください。

介護保険を使うことになる被保険者は、一般的に65歳以上の高齢者が利用するものであるというイメージもあるかと思いますが、第二号被保険者である40歳~64歳までの方も老化に起因する疾病(指定の16疾病)により介護認定を受けた場合に限り対象となります。

介護認定とは自治体から職員の方が来訪し、対象者へ日常生活の状況をヒアリングしたり、身体機能をチェックしたりといったことを行い、およそ1カ月で要支援1~要介護5までの認定を行います。介護認定においていずれかに認定されると次にご紹介する介護サービスの利用が可能です。

どんな介護サービスを使えるのか?

皆さんが介護サービスと聞いてイメージするのは、どのようなものでしょう?

施設へ入居するといったことや、デイサービスを利用するといったことを思い浮かべるのかもしれませんが、それ以外にも下記のような介護サービスが存在します。

※介護サービスの一部を抜粋しております。

・ケアプランの作成

・訪問介護(お風呂やトイレのお世話など)、生活援助(家事の代行など)

・訪問看護(看護師さんが家に来て健康状態をチェックしてくれます)

・デイサービス(食事やお風呂など施設に通う形で介護サービスを受けられます)

・ショートステイ(短期間施設に宿泊して介護サービスを受けられます)

・特別養護老人ホーム等の施設への入所

これ以外に、介護用ベッドのレンタルや自宅のバリアフリー改築費なども限度額はありますが、介護保険の対象となります。おおよその介護サービスが対象とはなりますが、気になるのはその費用です。

※要支援の方は介護の予防給付という形で介護保険のサービスを利用することは可能ですが、この記事では要介護1以上の方を対象にご説明していきます。

上表は介護保険で利用できる各種サービス1か月の給付限度額と自己負担額の一覧です。一般的には1割負担の方がほとんどだと思いますが、収入に応じて自己負担額は2割・3割と増加していきます。1割から2割に変わる基準として年間所得220万円以上が一つの目安になりますので、年金受給者の方で気になる場合は、確定申告書の控えか源泉徴収票をご確認ください。

世帯分離と高額介護サービス費

仮に要介護3に該当し、1割負担の方がいたとします。子世帯と同居していますが、デイサービスをうまく活用し、なるべく自宅で介護を行う状態だった場合、お住いの自治体や利用する施設、その施設の提供するサービス加算などにより違いはありますが、一日当たり1,000円~2,000円の自己負担が発生します。

上記自己負担の中で、食費やおむつ代などは介護保険対象外です。そのため自己負担額の内、介護保険を利用している部分は700円~1,200円程度であることが一般的です。

要介護3の場合、週4~5日程度のデイサービスが一般的ですので、1カ月当たり介護保険部分の自己負担額は次のような計算になります。

(例)要介護3の方が週5日デイサービスを利用した場合

介護保険部分1,200円×5日×4週(1カ月)=24,000円

介護保険+保険の効かない物(食費等)2,000円×5日×4週(1カ月)=40,000円

実際には先ほども述べたように、自治体・施設・受けるサービスにより金額に違いは発生しますのでご注意ください。

今回取り上げた例では要介護3の自己負担限度額である27,048円を下回っていますが、年齢を重ね要介護度が上がっていくとそれに比例して介護にかかる費用も大きくなっていくケースがほとんどです。また、施設への入所ともなれば発生する費用はデイサービスの比ではありません。

当然ながら自己負担限度額を超えたからといって、介護サービスの支払いを免除されることはありません。そこで、今回解説する高額介護サービス費という制度が登場するのです。

上表が自己負担限度額を超えた場合に申請できる高額介護サービス費の対象者別一覧となりますが、上表の自己負担の上限を超えて支払った金額は申請することで払い戻しを受けることが可能となります。分かりやすく言うと、健康保険の高額療養費制度に似たところがありますね。

注目していただきたい部分は『世帯』で住民税の課税があるかどうかを判断している点です。冒頭申し上げた子世帯と同居し、住民票上世帯主が親世帯になっている場合は、親の年金がどんなに少なくても、子世帯が平均的な収入を得ている場合、「世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方」に該当しますので、自己負担の限度額は44,000円となります。

反対に世帯分離を行い、住所は同じでも生計を一にしていない(住民票上分かれている)場合は、親世帯の年金のみで判定されるため、年金収入の金額によっては自己負担額を下げることが可能です。

ただし、介護保険の自己負担を下げるために世帯分離を行うことは原則認められていません。あくまで、親世帯は親世帯で、子世帯は子世帯でお金の管理をしたいから世帯分離を行うという明確な理由が必要です。また、現行の介護保険制度のままずっと続くという保証もありません。介護保険は頻繁に制度改正が行われますので、せっかく世帯分離を行っても制度改正により意味のないものとなってしまう可能性もゼロではありません。

世帯分離を検討している方はメリット・デメリットをよく理解した上で手続されることを強くおススメいたします。決して安易な考えから行うことの無いようご注意ください。

今回のまとめ

「とりあえずどんな世帯でも自己負担の限度額は44,000円だから年金で何とかなりそう…」

と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、先ほども解説した通り食費等は対象になりませんので、介護保険以外に頼れる貯蓄を今の内から始めることも大切だという認識をお持ちいただければと思います。

公的介護保険以外に民間の生命保険会社でも介護保険を販売する会社は増えてきています。それだけ世間が注目し、備えなければと思っているお金の分野であることは間違いないのですが、ある程度の年齢を重ねてから蓄財するのではなく、1歳でも1カ月でも早くから積み立てを始めることで、時間を味方にすることが可能となります。

長期・分散・積立が資産形成の基本であることは何回もお話しておりますが、介護や老後のお金を貯めていくためにこれ以上の方法はありません。iDeCoや積立NISAなど国の非課税制度と、いざ介護状態になった時は公的介護保険を組み合わせることで、金銭的にゆとりのある介護を受けることが出来るのではないでしょうか。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

中込龍太に相談する!

【マネーセミナー開催のお知らせ】

11月14日(土)、12月13日(日)

場所 ホテルサンルートプラザ新宿

開始 午前11時~

テーマ 「初心者向けマネーセミナー

5年後、10年後、差がつくお金の貯め方、増やし方」

感染拡大防止に最大限の注意を払い開催いたしますので、参加ご希望の方はLINEよりご予約をお願い致します。

FP中込龍太のLINE公式アカウントをスタートしています!

ブログ同様暮らしに役立つ情報を発信しておりますので、友達追加よろしくお願いいたします!
友だち追加