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ユーロとは何か?

こんにちは!

SPOONの中込です。

 

7月も後半に入りましたが、なかなか夏らしくカラッと晴れた日が続かないですね。今年は全国的に梅雨明けが遅れているそうですが、早く夏らしい太陽の下、元気に活動していきたいものです。

 

さて、今日のブログは『ユーロとは何か?』と題して、欧州統一通貨であるユーロについて解説していきたいと思います。米ドルの次に流通量が多い通貨ですが、あまりなじみのない方もいらっしゃると思いますので、この機会に知っていただければ幸いです。

ユーロ誕生の歴史を一から紐解いていくと、それだけでブログのスペースがすべて埋まってしまうので、まずは簡単に歴史を振り返っていきましょう。

 

大小様々な国家が存在し、またそれに比例するように多民族が暮らすヨーロッパでは、国家同士、民族同士の紛争は昔から多く、平和を願う声から第二次大戦前より国家を超えてヨーロッパを統合する試みは数多くありました。第二次大戦後まずは経済やエネルギーの分野で統合を目指し、1967年にヨーロッパ共同体(EC)が発足。国家の枠を超えた統合が始まります。歴史はさらに進みベルリンの壁が崩壊。経済やエネルギーだけでなく、政治の分野も協力関係が進み1993年に現在の欧州連合(EU)が発足しました。これによって加盟国間の人の行き来を自由にしたり、貿易にかかる関税を撤廃したりと、国と国との壁が低くなり、ヨーロッパの統合は深くなります。

その後、ヨーロッパを一つにし、多民族が力を合わせて平和に豊かに暮らしていくという大目標達成のために、まずは国家の権利の一つである通貨の発行から共通化していこうということで、2002年実際の貨幣としてEU統一通貨である「ユーロ」の使用がスタートされました。

前回のブログでも書いたように、現在世界では管理通貨制度を取っていますが、ユーロも同じく欧州中央銀行が紙幣の発券や金融政策を行っています。

 

ユーロがスタートしたことにより、より国家の枠を超えた統合が深まります。

通貨が統合されたことで交換レートに悩む必要もなく、ユーロ圏内であれば積極的に投資出来ることになり、ビジネスには一定の効果をもたらしました。また、ユーロ圏の人口は3億人以上ですので使う人も必然的に多くなり、今では米ドルに次ぐ基軸通貨として扱われています。

ちなみに今日(2019年7月22日)日本円からユーロに変えると交換所のレートにもよりますが、大体1ユーロ121円くらいです。

 

ユーロの歴史を簡単に振り返ってみましたが、地域として統合・団結することにより政治的・経済的にお互いの強みを生かし国際社会で躍進していこうという目標は素晴らしいのですが、皆さんもご存じのギリシャ危機を皮切りにユーロへの信頼は急速に低下していくことになります。

 

2009年にギリシャでとんでもないことが発覚しました。簡単に言うと「政府が嘘をついた」ことが公にバレます。対GDP比3.7%の財政赤字と発表していたものが、実際は12.5%であると発表されました。企業でいうところの粉飾決算を国家ぐるみでやってしまっていたわけです。

ギリシャもユーロ加盟国ですから、一斉にユーロへの信頼が揺らぐことになりました。当然ですが、嘘をついていた国の使っているお金は信用できません。この影響を受けてユーロを使っている国の債券格付けはことごとく下落していき、欧州債務危機と呼ばれる経済危機へと発展していきます。

 

その後何とか危機的状況は脱しましたが、基軸通貨の米ドルと比べると、流通量は2位ですが超えられない壁があるくらい離れた2位と言わざるを得ません。数年前には日本の保険会社もユーロ建ての保険を販売していた時期もありましたが、現在では米ドル・豪ドル以外の外貨建て保険は見なくなってしまいました。それだけ、欧州債務危機がユーロに与えた影響は大きいと言えるのです。

 

以上がユーロ誕生から現在までの歴史ですが、皆さんはユーロへ投資することをどう考えるでしょうか?無論、分散投資が基本ですので日本円だけの資産構成はお勧めしませんが、それでもユーロへの投資はお勧めできません。その理由は、現在ユーロが抱える問題があまりに不安定だからです。

 

イギリスのEU離脱問題。移民・難民問題。テロ・地政学的リスクなど、極端に言えば数日後どうなるかわからない問題を多く抱えています。もっともこれは米ドルや日本円と比較したときに際立って目立つリスクですが、現在日本に暮らしている我々が何も高いリスクを背負って投資するほどの魅力があるかと言われれば無いというのが現状だと私は考えます。

 

仕事や友人関係も同じですが、一度無くした信用を再び取り戻すためには時間がかかります。ユーロもまさに同じ状態にあるのではないでしょうか。

「国家の枠を超えた統合を推進し、多民族が豊かで平和に暮らせる社会の実現」という目標の下EUが発足し、経済活動をもっと自由にするために通貨を統合しようということでユーロが生まれました。しかし、現実は考え方や文化の違う人達がすぐに手を取り合うということにはなりませんでした。現にイギリスは移民問題が原因となりEUからの離脱が国民投票で決まりました。

 

理想や考え方は素晴らしいけど、なかなか実現しない。もしくは実現に時間のかかりそうなものに投資することは悪くありません。しかし、それは投資ではなく親心に近いのではないかと思います。ご自身の大切な資産ですのでどうぞシビアな目で判断して、投資先を決定することを心がけてください。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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*本記事は2019年7月22日現在の情報をもとに作成しています。